数多くの名勝負を繰り広げてきた錦織圭選手。
その歴史があるからこそ、錦織圭選手の試合はワクワク感と、ハラハラ感が満載の独特の雰囲気を醸し出します。
幾多の名勝負の中から、これぞと思われる試合を厳選してみました。
読者ご自身の当時も思い起こしながら、是非お楽しみください!
錦織圭の名勝負5選!
ジョコビッチと練習中の錦織圭(いつもと違い、一眼レフ編) pic.twitter.com/QhlrhM54Z2
— 稲垣康介 Kosuke Inagaki (@Inagaki7K) August 25, 2019
錦織圭選手の名勝負5選はこちらです!
- VS ダビド・フェレール:大会名 2008全米オープン3回戦
- VS ラファエル・ナダル:大会名 2016リオオリンピック3位決定戦
- VS アンディ・マレー:大会名 2016全米オープン準々決勝
- VS ロジャー・フェデラー:大会名 2017全豪オープン4回戦
- VS ノバク・ジョコビッチ:大会名 2014全米オープン準決勝
それぞれ詳しい解説していきますね!
VS ダビド・フェレール:大会名 2008全米オープン3回戦
少年のボールボーイと並んでも背丈が同じくらいのダビドフェレール。気合が漲ってます。やはりディフェンディングチャンピオン。 #ダビドフェレール #DavidFerrer pic.twitter.com/4xP2sRMZ5X
— テニスでしょ.com (@tennisdeshow) February 24, 2016
- VS:ダビド・フェレール
- 大会名:2008全米オープン 3回戦
- 日付:2008年8月31日
- 結果:6-4,6-4, 3-6,2-6,7-5 勝利
錦織圭選手、18歳、プロ転向1年目、ランキングは125位、全米オープン初出場。
まさに錦織圭の名前が世界にとどろき渡ったのはこの試合と言っても過言ではありません。
1回戦で世界32位のファン・モナコ選手を破り、2回戦はカラヌシッチを退けて、初出場で3回戦に進出した錦織選手は、第四シード、世界ランキング4位のダビド・フェレール選手と対戦しました。
これが両選手の初対戦でした。
この2008年全米オープン、第一シードはラファエル・ナダル選手、第二シードはロジャー・フェデラー選手、第三シードはノバク・ジョコビッチ選手、フェレール選手はその次に位置する第四シード、ちなみに第六シードにアンディ・マレー選手の名前があります。
まさにビッグ4が日の出の勢い、他選手を寄せ付けず君臨し始めたころ、相手のフェレール選手はそこで世界ランク4位だったのです!
そのビッグネームに対して、細身、どちらかと言えば小柄な日本の18歳の若者が、とてつもない試合を繰り広げました。
この試合を契機に、KEIの名前が世界にとどろき渡ったのです。
では、どんな試合だったのでしょうか?
怖いもの知らず、躍動感あふれる若き錦織圭がそこにいました。
爆発的なショットはないものの、驚異的な粘り、ゲーム展開、正確なプレースメントで世界4位に上り詰めていたフェレール選手に対し、立ち上がりから錦織選手は強烈なストロークを打ち続けます。
これが初対戦だった両選手、その後何度も顔を合わせることとなり、最終的には14戦して錦織選手10勝、フェレール選手4勝という対戦成績を残しています。
フェレール選手の球筋が、錦織選手に合っているのかと思わせる相性の良さは、この初対戦序盤から感じられました。
ストローク戦で打ち勝つテニス、錦織選手が第一セット、第二セットをともに6-4で奪取します。
しかしフェレール選手もキャリアの中で全盛期と言ってよい時期、絶対にあきらめないスピリッツで、反撃に転じてきます。
錦織選手の裏をかくサービスエース、ネットプレーに出た錦織選手に対して、狭いサイドを抜いてのほぼオンラインのパッシングショットなどが随所に出始め、第三、第四セットを奪い返し、セットオールとなります。
後年、ミスターフルセットなどと呼ばれるようになった錦織選手、全米初出場で早くもフルセットの激戦を戦ったわけです。
最終セットは、勢いを取り戻した錦織選手がブレークアップ、5-3でサービングフォーザマッチを迎えます。
そしてマッチポイントを握った錦織選手が強烈なファーストサーブ、フェレール選手が辛うじてリターン、まさにここで決まるかの一瞬、ネットに出た錦織選手のスイングボレーがネットに当たってイン、これをフェレール選手が見事パス、錦織選手はマッチポイントを逃します。
ここからがフェレール選手の真骨頂、錦織選手のナイスショットをことごとくディフェンス、何と土壇場でブレークバックするのです。
そしてその後互いにキープして錦織選手6-5で迎えた第12ゲーム、フェレール選手が痛恨のダブルフォルト、0-30となりますが意地の2ポイント連取で30-30、ストローク戦をコントロールした錦織選手がポイントを奪い、2回目のマッチポイント。
しかし、フェレール選手が驚異のサービスエースで凌ぐ。
そして今度はネットに出たフェレール選手に錦織選手が見事なパスを決めて、3回目のマッチポイント!
このポイントはフェレール選手が押していたが、錦織選手の上げたロブが絶妙の位置に入り、フェレール選手返球がチャンスボールとなってまさに3度目の正直、フォアハンドを決めて勝利をつかむのです!
4位対125位、まさに super upset、観衆がこの3時間30分にわたる大熱戦に、大歓声を上げました。
まさにKEI 世界にデビュー、この試合で錦織圭の名前は世界にとどろき渡りました。
VS ラファエル・ナダル:大会名 2016リオオリンピック3位決定戦
これは感動した🥉
オリンピック感動の名シーン 錦織圭 日本テニス界96年ぶりのメダル(Olympic Channel) https://t.co/n7NNp9vW9S— tama mom (@mom_tama) May 24, 2019
- VS:ラファエル・ナダル
- 大会名:2016 リオオリンピック テニス競技3位決定戦
- 日付:2016年8月14日
- 結果:6-2,6-7(1), 6-3 勝利
2016年リオデジャネイロオリンピック テニス競技、錦織圭は準決勝まで勝ち進みましたが、優勝したアンディ・マレー選手に1-6,4-6と敗れ、銅メダルをかけて3位決定戦に向かいました。
そして相手は、あのラファエル・ナダル選手。
2016年のナダル選手は、2015年から続く不調で、全豪では何と初戦敗退、十八番の全仏欠場といいところなく、このリオオリンピックがまさに復活ののろしを上げる大会でした。
事実、こののち2017年全豪では、フェデラー選手とともに復活を果たし、決勝で両雄が相まみえるという、劇的なストーリーが待っています。
そんなナダル選手と錦織選手がオリンピック銅メダルをかけて激闘を繰り広げました。
リオオリンピックのテニス競技は、ハードコートで行われました。
ハードコートは錦織選手の最も得意とするサーフェス、一方のナダル選手もその後の復活を感じさせるハードコートの戦いぶりをみせます。
両選手は序盤から、ほぼトップギアではないかと思われるほどの激しいラリー戦を繰り広げます。
この時錦織選手26歳、ナダル選手30歳、錦織選手はビッグ4よりも3-4歳若い年齢から、年齢を重ねれば少しでも差は詰められるのではないかと思われていました。
第一セットは、錦織選手がストローク戦で優位に立ち、ドロップショットを決めるなどナダル選手のサーブを2度ブレーク、6-2で奪います。
第二セットも錦織選手が押し気味の試合展開、このまま押し切るかに見えました。
しかしナダル選手も、その後の復活で、火を噴き始めるレベルアップしたバックハンドが徐々にギアをあげて反撃、このセットはタイブレークに持ち込まれます。
後がないナダル選手は、ここで最高のメンタル、集中力を発揮し、ライン際にボールをねじ込み、何と7-1でタイブレークを取り、セットを奪い返すのです。
ファイナルセットは両雄相譲らず、互角の試合展開でしたが、4ゲーム目のナダル選手サーブで、ナダル選手にバックハンドのミスが2本出てブレーク。
このバックハンドミスは、後のナダル選手バックハンド更なる躍進の引き金になったのではないでしょうか?
7ゲーム目錦織選手サーブでポイント先行されるも、見事なパスを決めて切り抜け、結局この1ブレークがものを言い、最後は錦織選手ボディサーブをナダル選手がリターンアウトしてゲームセット!
錦織選手がナダル選手から上げた2勝のうちの1勝が、このオリンピック銅メダル獲得の偉業となったわけです。
復活途上だったとはいえ、2017年、2018年のナダル選手無敵の快進撃をみれば、錦織選手まさに会心の試合と言えるでしょう。
VS アンディ・マリー:大会名 2016全米オープン準々決勝
錦織に英メディア驚きと賛辞「閃光のようなフォア」 https://t.co/eJGd4baDbC #全米オープン #錦織圭 #アンディ・マリー
— 日刊スポーツ (@nikkansports) September 8, 2016
- VS:アンディ・マリー
- 大会名:2016 全米オープン 準々決勝
- 日付:2016年9月8日
- 結果:1-6,6-4,4-6,6-1,7-5 勝利
2016年はアンディ・マリー選手にとって、最も輝いた年の一つと言ってよいでしょう。
全豪、全仏ではともに決勝へ進出、ジョコビッチ選手にどちらも敗れたものの、見事なファイナリストとなりました。
そしてウィンブルドンでは歓喜の2度目の優勝!
リオオリンピックではロンドンに続いて2大会連続の金メダル獲得!
2016年最終では、世界ランキング1位で終わることができた年なのです。
全米オープンでは、第一シードジョコビッチ選手に続く第二シード、ちなみに第三シードはこの大会を制することになるワウリンカ選手、第四シードはこの大会4回戦で不覚を取ってしまったナダル選手でした。
2017年全豪で華麗なる復活を遂げるフェデラー選手の名前はまだ見当たりません。
錦織選手は第六シード、日本人選手がグランドスラムで一桁のシードに入るという夢のような快挙を実現していたのです!
1回戦から4回戦まで順当に勝ち進んだ錦織選手は、準々決勝へ進出、第二シードマリー選手と激突しました。
この最高の状態にあったマリー選手に対して、錦織選手が凄まじい試合を繰り広げます。
アーサーアッシュスタジアムはまさに歓声の坩堝と化したのです。
試合の構図は、錦織選手の攻め対マリー選手の守りという展開となりました。
錦織選手が、ベースライン際に立ち、高速ライジングショットで怒涛の攻撃を仕掛ければ、マリー選手がベースライン後方に構えて、この攻撃を正確無比なバックハンド、ムーンボールなどを交えて凌いでいき、チャンスと見れば一気に攻撃へ転じる、そんな試合展開が続きます。
第一セットは錦織選手がマリー選手鉄壁のディフェンスを崩し切れず、1-6で失ってしまいます。
しかし第二セット、錦織選手はドロップショットを多用し、マリー選手のショット予測を覆す展開に成功、このセットを6-4と奪い返すのです。
第三セットは互いの戦略が行ったり来たりの互角の展開、マリー選手がセンターセオリーで攻めれば、錦織選手がセンターへの強打で反撃、フォアハンド回り込みのチャンスを互いに狙うなど、一進一退の攻防が続きます。
少ないチャンスをものにしたマリー選手がこのセットを6-4と押し切って王手へ。
第四セットに入っても、マリー選手の粘り強い守備からのカウンター攻撃に錦織選手は苦しみ、押され気味の展開。
ところが、1-1からの3ゲーム目のラリー中、音響設備不具合によるゴーーンという雑音が発生、審判はラリーを中断させます。
この一件でペースを乱されたのはマリー選手の方でした。
錦織選手のセカンドサーブアタックも当たりに当たり、なんとマリー選手のサーブを2度ブレーク、6-1でセットオールに持ち込むのです!
ファイナルセットはまさにこの試合の集大成とも言うべきエッセンスが満載、勝負を分けたのはネットプレーでした。
互いに戦略を駆使したストローク戦はほぼ互角、このままでは体力に勝るマリー選手に押し切られると感じた錦織選手は、これまであまりみせていなかったサーブ&ボレー、あるいはドロップショット、アプローチからのネット展開に出ます。
マリー選手渾身のパッシングショットを3度にわたりボレーしてポイントを奪うという、錦織選手の天才的ボレータッチが発揮された瞬間でもありました。
ブレークもし合う激しい展開のセット、最後は錦織選手が7-5で勝ち切り、この大舞台で最高のコンディションであったマリー選手を破るという、大殊勲の星を上げたのです。
VS ロジャー・フェデラー:大会名 2017全豪オープン4回戦
🎾 #海外テニス 🎾#フェデラー がテニス界の未来を予想。今の若手たちは「いずれ #グランドスラム 優勝20度の記録を超えられる」<SMASH> #Federer #tennis #grandslamhttps://t.co/A6EqIW6eYq
— スマッシュ編集部 (@smash_monthly) October 6, 2021
- VS:ロジャー・フェデラー
- 大会名:2017 全豪オープン 4回戦
- 日付:2017年1月22 日
- 結果:7-6(4),1-6,4-6,6-4,3-6 敗戦
もしこの試合で錦織選手が勝利していたら、全豪オープンに優勝していたかもしれない、そんなことが後年つぶやかれた伝説の試合です。
ではフェデラー選手の当時の状況を振り返ってみましょう。
前年2016年は全豪準決勝でジョコビッチ選手に敗退、大会後、ヒザの内視鏡手術を受けます。
その後タフなクレーコートシーズンで今度は背中を痛め、全仏を欠場、得意のウィンブルドンに焦点を絞る形となりました。
ウィンブルドンでは、チリッチ選手にマッチポイントを握られるなど苦戦の末準決勝に進出するものの、ラオニッチ選手の前に涙をのみます。
しかもこの試合で、フェデラー選手は転倒、再びヒザを負傷して、この年の以降の大会を欠場することになってしまいました。
2016年はリオ・オリンピックの年、フェデラー選手は念願だったオリンピック金メダル獲得も断念せざるを得なかったのです。
フェデラー選手は16年ぶりに優勝なし、年間最終ランキングは16位と低迷し2016年が終わります。
この状況でフェデラー選手公式戦復帰となったのが、2017年1月の全豪オープンでした。
フェデラー選手当時35歳、少しずつ限界説もささやかれ、果たしてどんな試合ぶりをみせるのかが注目されていました。
錦織選手は2017年全豪では堂々たる第五シード、初戦こそフルセットと苦戦したものの、2回戦、3回戦をストレート勝ちで4回戦へ進出します。
フェデラー選手は何と第十七シード、3回戦から自分よりも上のシード選手と対戦しなくてはなりません。
フェデラー選手が試合勘のキッカケをつかんだのは3回戦の第十シード、ベルディヒ選手との一戦だったかもしれません。
レベルの高いサーブ、ストロークで安定した実力を誇るベルディヒ選手にストレート勝利、4回戦で錦織選手と激突します。
その後のフェデラー選手復活本格化への序曲となったこの試合を振り返りましょう。
錦織選手とフェデラー選手の試合は、フェデラー選手の速い攻めを錦織選手がどう対処するかが大きなガキとなります。
フェデラー選手は200キロを少し超えるくらいのサーブを、針の穴を通すコントロールでピンポイントに入れてきます。
そして一気に有利な状況を作り、回り込みフォアハンドから逆クロスでポイントにするか、チャンスボールを生み出し、このサーブからの3球目攻撃でポイントを量産するのです。
錦織選手はまさにこの3球目攻撃をいかに防ぐかのリターンゲームを戦略的に実行します。
フェデラー選手に対して相手選手はどうしてもバックハンドを狙いがちです。
しかしこのバックハンドへのショットが少しでも甘くなると、素晴らしいフットワークのフェデラー選手に回り込まれ、逆クロスに打たれてしまいます。
錦織選手はリターンが絶好調、回り込まれない深さへのリターン、逆にフォアハンド側へのクロスリターンを効果的に配し、いきなりの2ブレークアップ4-0とします。
ここからフェデラー選手がサーブの種類、プレースメントを変えて反撃、1セット目からタイブレークにもつれ込みます。
ここでの勝負強さを錦織選手が発揮、1ポイントのミニブレークを守り切ってこのセットを奪います。
王者のエンジンが全開に近くなったのはここからです。
第二、第三セットはフェデラー選手のスピード・コントロールともに抜群な、驚異的なサーブが炸裂、錦織選手は満足にリターン出来ない状態になります。
錦織選手サービスゲームに対してフェデラー選手はスライス、フラットドライブ、スピンなどを駆使し、なおかつネットへの早い詰めで攻撃、錦織選手は4-6、1-6と圧倒されてしまいます。
この状況で錦織選手はどのように対処したのでしょうか?
ベースラインの中に入り打ち込んでくるフェデラー選手に、錦織選手も下がらず、高速対高速のまさに現代テニスのコアとも言うべきストローク戦の打ち合いとなります。
これは両選手にとっても最も得意な展開、フェデラー選手の正確無比なサーブ、ペース変更に耐えながら、わずかなチャンスをものにした錦織選手が6-4で取り、セットオール!
最終セット、フェデラー選手のサーブにはほぼ波はありません。
ハイレベルな状態でのサービスが続き、錦織選手は勝負所でエースを決められたり、どうしてもブレークすることが出来ません。
逆に錦織選手最初のサービスゲームをうまいプレースメントでミスを誘われ、ブレークされてしまいます。
これが最後まで致命傷、最後はフェデラー選手がスマッシュを決めて、歓喜のジャンプです!
この試合でフェデラー選手は王者完全復活、見事に2010年以来の全豪を制覇することになるのです。
VS ノバク・ジョコビッチ:大会名2014全米オープン準決勝
ヤリヨッタデー #錦織 #全米オープン pic.twitter.com/NPEe1YWHxa
— もりちゃん (@my10_SWAG) September 6, 2014
- VS:ノバク・ジョコビッチ
- 大会名:2014全米オープン 準決勝
- 日付:2014年9月6 日
- 結果:6-4, 1-6, 7-6(4), 6-3 勝利
錦織圭選手史上最高の大会は、まぎれもなく2014年全米オープンです。
当時錦織選手は足親指の故障により全米オープン前哨戦を2大会に渡り欠場、全米にぶっつけ出場のピンチを招いていました。
ところがフタを開けてみると、3回戦までセットを失わず快勝、4回戦で第一関門の難敵ラオニッチ選手、準々決勝では第二関門のワウリンカ選手を大激戦の末、いずれもフルセットで勝利、初のGS準決勝進出を決めます。
そして相手は第一シードのジョコビッチ選手でした。
すでに世界ランキング1位だったジョコビッチ選手は、2014年のウィンブルドンを制し、2010年以来4年連続で決勝に進出している全米オープンに臨みました。
この試合以降、ジョコビッチ選手は、GSにおいては2015年は全仏でナダル選手に喫した1敗のみですべて優勝、2016年の全豪・全仏も制して1年半余りの間GSで1敗しかしていないのです。
つまり2014年ウィンブルドンから2016年全仏までの間、GSでジョコビッチ選手に勝利した選手はナダル選手と錦織選手の二人しかいない、ということです!
そんなジョコビッチ選手と錦織選手が2014年全米オープン準決勝で対戦しました。
錦織選手にとって、日本テニス界にとって歴史的な一戦となったこの試合をみていきましょう。
第一セットは、錦織選手がジョコビッチ選手の特にセカンドサーブをアタック、世界有数のリターナーであることを証明した試合ぶりとなります。
現在のジョコビッチ選手はサーブにさらに磨きがかかり、セカンドサーブでも中々チャンスは作れませんが、この当時はそれに比べるとわずかながらスキを見出せる状況でした。
錦織選手は2度にわたりジョコビッチ選手のサーブをブレークし、反撃を1ブレークに抑えて6-4で第一セットを奪取します。
第二セットをジョコビッチ選手が取り返すわけですが、これはセカンドサーブにてキックサーブを多用したことにより、錦織選手のリターン攻撃を防いだのが要因です。
また、絶妙のドロップショットも随所に散りばめ、ジョコビッチ選手が錦織選手を翻弄、6-1と奪って、このまま流れをつかむかにみえました。
第三セットは、逆に錦織選手がジョコビッチ選手キックサーブを克服、さらに前に入ってのリターンで攻略します。
錦織選手がブレーク先行しますが、ジョコビッチ選手が追いつき、タイブレークに突入。
このタイブレークを取ったことが大きかった、これをジョコビッチ選手に取られていたら、ずるずるとそのまま敗戦となったことでしょう。
タイブレークも錦織選手がミニブレーク先行、ジョコビッチ選手がDFを犯すなど4-0から5-2までリードします。
しかしジョコビッチ選手も反撃、逆に錦織選手がDFを犯してしまい5-4、この10ポイント目のジョコビッチ選手サーブがセカンドとなり、キックサーブを再度錦織選手が攻略、セットポイントを握ったことが分岐点でした。
これは試合をも左右するポイントでした。
タイブレークを取った錦織選手は、その勢いのまま第四セット立ち上がりのジョコビッチ選手サーブをブレーク、このまま一気に行くかと思われました。
しかしそこはジョコビッチ選手、すかさず2ゲーム目で0-40のブレークバックチャンスを作ります。
このゲームも大きかった、錦織選手は好調のサーブでファーストサーブを入れ、何とか挽回、キープに成功します。
そのあとの6ゲームは互いにサービスをキープして5-3で迎えたジョコビッチ選手サーブゲーム、実はこのゲームは今後のジョコビッチ選手攻略へのヒントが隠されていたのですが、錦織選手はおそらく無意識でそれを実行していたため、この試合の後、対錦織選手対策を練りに練ったジョコビッチ選手に全く勝てなくなってしまいます。
このゲーム、錦織選手はジョコビッチ選手のボディ寄りへのショットを多発しています。
そのショットがあるからこそ、いきなりのダウンザラインリターンが成功、一気に優位に立ちます。
30-40とマッチポイントを迎え、逆クロスの深いフォアショットを炸裂させますが、これもサイドギリギリではなく、切替しに角度が付きづらいところへ打っています。
そのあと、回り込みフォアを打ち、これをジョコビッチ選手がバックアウトして世紀の勝利を収めるわけですが、この錦織選手ラストショットも、ジョコビッチ選手ボディ寄りの深い位置に打っています。
歓喜、歴史的な勝利、この一戦は後世まで語り継がれるまさに偉業となりました。
ジョコビッチ選手と対戦するときは、他の選手ではポイントを取れているラインギリギリを狙ったショットはあえて封印すべきなのです。
ジョコビッチ選手は振られれば振られるほど調子をどんどん上げ、驚異的とも思われるコートカバーリングをみせ、不利な状況から一気にカウンターしてポイントを奪います。
従ってジョコビッチ選手を動かせないようにする、また回りこみフォアを打たせないようにするポジションへショットを打ち続けることが攻略の第一歩です。
しかしそれ以上の動き、予測、そしてさらに磨き上げられたフォアハンド、バックハンド、ドロップショット、年々向上するサーブ、引き出しの多さを感じるネットプレーをしてくるジョコビッチ選手ですから、もちろん簡単ではありません。
世界一とも思えるリターン力を持つジョコビッチ選手、打倒にはサーブ力も必要です。
2021年全米オープン決勝で、メドベージェフ選手がまさにこの戦略を実行、ダブルファーストサーブなどの超強気な戦略も加味して打倒ジョコビッチ選手を果たしたのは記憶に新しいことです。
この試合以降、錦織選手はジョコビッチ選手に勝利出来ていませんが、ともあれこの2014年全米オープン準決勝でジョコビッチ選手を倒して決勝へ進んだことは、日本テニス界にとってまさに夢のまた夢のような出来事でした!
まとめ
ATPファイナルズ🎾
錦織圭 初戦のフェデラー戦
7-6(7-4)、6-3 のストレートで勝利!6連敗中の相手だっただけに勝てるか不安だったけど、さすが錦織! pic.twitter.com/VPmpNAHWSj
— jun (@azul_mar_) November 11, 2018
以上、錦織圭選手の名勝負5選をまとめましたがいかがだったでしょうか。
おさらいです。
- VS ダビド・フェレール:大会名 2008全米オープン3回戦
- VS ラファエル・ナダル:大会名 2016リオオリンピック3位決定戦
- VS アンディ・マレー:大会名 2016全米オープン準々決勝
- VS ロジャー・フェデラー:大会名 2017全豪オープン4回戦
- VS ノバク・ジョコビッチ:大会名 2014全米オープン準決勝
錦織圭選手1989年、ロジャー・フェデラー選手1981年、ラファエル・ナダル選手1986年、アンディ・マリー選手1987年、ノバク・ジョコビッチ選手1987年。
各選手の誕生年です。
この錦織選手以外の4人の選手の時代が少しでもずれていたら、ばらついていたら、4人でなく2人だったら、錦織選手は数度となくグランドスラムを制覇していたかもしれません。
テニス界に燦然と輝くビッグ4の歴史、そして錦織選手はビッグ4と激烈な対戦を繰り広げてきたのです。
錦織選手名勝負選は自然にビッグ4との対戦がピックアップされました。
そして錦織選手プロ転向時に来日し、エキシビションマッチまでやってくれたフェレール選手、錦織選手にとっての偉大なる先輩選手の一人でしょう。
フェレール選手は引退、フェデラー選手は2021年40歳、他の3選手も30台半ばを迎え、いつまで錦織選手との対戦がみられるかはわかりませんが、これからの一戦一戦は見逃せませんね!
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