今年40歳、もはやレジェンドとなったロジャー・フェデラー選手。
フェデラー選手は、サーブを大きな武器としていますが、その特徴はどんなところにあり、どんなグリップで、どれくらいの速度なのでしょうか?
ここではフェデラー選手のサーブの特徴、速度、グリップを深掘りし、あの美しいサーブが生まれる所以を探ります。
フェデラーのサーブの特徴は?
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— Roger Federer (@rogerfederer) January 28, 2018
ロジャーフェデラーのサーブの特徴は、以下の4つが挙げられます。
- 特徴①読みづらいサーブ
- 特徴②世界有数のセカンドサーブ
- 特徴③ピンポイントのコントロール
- 特徴④力みのないしなやかなフォーム
それぞれ詳しく解説していきます!
特徴①読みづらいサーブ
After 18 months of rehabbing and performing behind closed doors, playing on Centre Court to a passionate crowd makes it all worth it. Thank you 🚀🙌🏼 pic.twitter.com/7TjQbrxioR
— Roger Federer (@rogerfederer) July 2, 2021
フェデラー選手のサーブは読みづらいと言われています。
そしてこれを大きな武器としています。
現代テニスでは、サーブの種類は大きく分けて3種類です。
フラットサーブ、スピンサーブ、スライスサーブですが、ここ数年トッププロ選手たちはこれらのサーブを場面、場面により使い分けるのがトレンドとなっています。
その昔は、フラットサーブ一辺倒でとにかくスピードを追求していくいわゆるビッグサーバー選手が存在しました。
しかし現代では、ジョン・イズナー選手や、ライリー・オペルカ選手などのビッグサーバーと言えども相当なスピン量のサーブを放っています。
スピン量の増大はサービスコートに入る確率を高め、その上で200数十キロのサーブが飛んでくるわけですから、リターナーはたまったものではありません。
ロジャー・フェデラー選手はどうか?
フェデラー選手のサーブ速度はファーストサーブでほぼ200キロ近辺です。
フェデラー選手の若いころは、プレーヤーの中でもかなり速い部類に入るサーブでしたが、このところのテニス界ではもう「当たり前」の速度になっています。
フェデラー選手も185センチあるわけですが、アレキサンダー・ズべレフ選手に代表される、2メートル近い身長の大型選手が、全くそれを感じさせないフットワークを持ち、かつその長身から220-230キロのサーブ力を兼ね備えた選手が続々と現れてきました。
ほぼ平均的ともいえるフェデラー選手のサーブ速度ですが、現在も依然としてフェデラー選手はサーブを武器にしています。
ますます高速化、大型化、パワフル化している現代テニスでフェデラー選手はどのようにサーブを武器としているのでしょうか?
それに対する答えとして、まず特徴の一つ目として挙げる、サーブの読みにくさがあります。
前述のようにサーブには大きく分けて3種類あるわけですが、フェデラー選手はこのサーブの打ち分けをほぼ見分けがつかないフォームから繰り出しています。
デュースサイドから外に切れていくスライス・サーブ、アドサイドから相手を外側に追い出すスピン(キック)サーブ、またアドサイドからはフラット気味のワイドサーブもあります。
そして時折見せるセンターへのフラット気味のサーブ、フェデラー選手はこれらをほぼ同じフォームから繰り出しているのです。
サーブリターンはまさに読み合いの駆け引きが繰り広げられます。
人間の反射神経には限界があるわけですから、これだけサーブが高速化してくると、わずかでも相手のサーブ時の癖を見抜き、コースやサービスの種類を瞬時に予測しなければ、とてもリターン出来ません、
鍛え上げられたプロテニス選手は、読みさえ当たれば、200数十キロの超高速サーブでさえ、リターン可能なのです。
しかし、読みを外されると、200キロ近辺のサーブと言えども全くのノータッチエース、あるいはリターンが相手のチャンスボールとなってしまいます。
フェデラー選手は、この読みづらいサーブ、そして抜群の駆け引きにより相手の裏をかき、サービスエースを量産し、あるいは3球目を鮮やかに決め、アッという間にサービスゲームをキープするというおなじみの光景を繰り広げます。
特徴②世界有数のセカンドサーブ
A star is born ⭐
In 2001, @rogerfederer beat seven-time @Wimbledon champion Pete Sampras for his first win on Centre Court. pic.twitter.com/NrSMlXTTY9
— ATP Tour (@atptour) July 6, 2020
ロジャー・フェデラー選手のサーブ、その二つ目の特徴は世界有数のセカンドサーブです。
かつて、世界一のセカンドサーブを持つプレーヤーと言えば、ピート・サンプラス選手でした。
2001年のウィンブルドン4回戦、それまでの8年間で7度ウィンブルドンを制覇したサンプラス選手は第一シード、順調に勝ち上がってこの試合に臨みました。
サンプラス選手はここまでウィンブルドン4連覇、そしてマッチ31連勝、この大会での焦点は、同じブロックで勝ち上がる地元イギリス期待のヘンマン選手が、ベスト8でぶつかるであろう無敵のサンプラス選手打倒を果たせるのか、でした。
そしてこの4回戦では、この時点で弱冠19歳、長髪を頭の後ろでまとめた世界ランキング16位のスイスの若者が初めてウィンブルドンのセンターコートに、サンプラス選手の対戦相手として姿を現します。
そう、ロジャー・フェデラー選手です。
ここまでウィンブルドンを7回制覇したサンプラス選手、この後ウィンブルドンを8回制覇することになるフェデラー選手、対戦はこの2001年ウィンブルドン4回戦のたった1度きりでした。
このテニス界の歴史を変えるような一戦、2度のタイブレークを含むフルセットの大熱戦でフェデラー選手が無敵のサンプラス選手を止めたわけですが、世界一のセカンドサーブもサンプラス選手からフェデラー選手に引き継がれていきます。
美しいフォームから、しっかりと回転のかかったサーブがサービスボックス内にはずむフェデラー選手のセカンドサーブの安定感は群を抜いています。
ブレークポイントでファーストサーブをフォルトしても、オンラインにセカンドサーブを打てるコントロール、威力があります。
現在はノバク・ジョコビッチ選手など極めて高いレベルのセカンドサーブを持つ選手も増え、世界有数と表現しておきますが、このセカンドサーブがあるからこそ、ファーストサーブの戦略が余裕をもって練れるため、フェデラー選手のサービスでの安定した獲得ポイントに結び付いています。
特徴③ピンポイントのコントロール
It’s been great to be back on the @atptour , loved every minute playing in Doha once again. 🙌🏼
A big thank you to the best and loyal team that helped me get here. 🙏🏼
I’ve decided it’s best to go back to training and as a result, I’ve decided to withdraw from Dubai next week. 🏋🏽 pic.twitter.com/zp65Jt832n— Roger Federer (@rogerfederer) March 11, 2021
フェデラー選手は元来サーブを得意としているプレーヤーですが、試合経験、年輪を重ねるにつれ、そのコントロール精度が上がっています。
リターナーにとって、特徴①であげたサーブの読みは重要なポイントですが、いくら読んでいても、この場所にサーブを打たれたらリターン不可能、というコースがあります。
もっともプロテニスプレーヤーですから、ある一定以上のサーブのスピードは必要ですが、テニスにおいてプレースメントは大変重要です。
フェデラー選手は、特徴②であげた世界有数のセカンドサーブを持つので、ファーストサーブはまさにピンポイントで狙ってきます。
センターへのサーブであれば、サービスラインがT字にクロスするポイント、その交点にボールが落ちるよう狙ってくるのです。
またワイドへもコーナーほぼギリギリ、あるはサービスボックスサイドラインにオンラインするようなところへ打ってきます。
これが200キロ近辺、しかも高いスピンレートのサーブですから、リターンの優れたプレーヤー、ジョコビッチ選手、錦織選手、あるいはナダル選手あたりでも中々クリーンな返球は難しくなります。
このピンポイントのコントロールがフェデラー選手サーブの大きな武器の一つです。
特徴④力みのないしなやかなフォーム
昔の方がトスが高いんだ。06年あたりからだいぶ今の感じ。
フェデラーはサーブからバックハンドフォアハンドどれを取っても華麗で美しくて惚れ惚れする。この美しさを見たくてテニス見てる、アート見たり音楽聴いたりするのと同じ列にある
Roger Federer – Serve Evolution https://t.co/YLx7rbqTCI— okaratt (@eple61) May 19, 2020
フェデラー選手サーブの特徴、最後は力みのないしなやかなフォームです。
素晴らしいサーブを打ちたい、という一般のテニスプレーヤーがサーブの打ち方を学ぼうとしたとき、テニスの技術指導のネットや雑誌などでは、参考にしたいフォームとしてしばしばフェデラー選手のサービスフォームが紹介されています。
構えから、トス、ラケットの動き、インパクト、フォロースルー、まさに芸術品、流れるような美しいフェデラー選手のサービスフォームです。
この記事であげた2001年のサンプラス選手との一戦におけるフェデラー選手のサービスフォームは、完成された現在のフォームと比べると、少しぎこちなさが感じられます。
20年あまりの時間は、フェデラー選手のサービスフォームを熟成させ、まさに教本のようなフォームを生み出しました。
グリップはコンチネンタル付近に握っており、やはり現代テニスにおけるサービス時のグリップの潮流です。
このトレンドは、フェデラー選手が作りだしたと言っても過言ではないでしょう。
アマチュアのみならず、プロ選手もフェデラー選手のサービスフォームを研究し、自らのサーブに生かしたり、いかにリターンで攻略するかの戦略を徹底的に練ってきたのです。
驚異的なテニスで世界ナンバーワンに君臨するノバク・ジョコビッチ選手も、自分を引き上げてくれたのは、フェデラー選手を筆頭としたビッグ4、ナダル選手、マリー選手がほぼ同世代にいたからだ、と語っています。
フェデラー選手は、この20年間のテニス界のレベルアップの先頭に立ち、大きな役割を果たしてきたました。
偉大なるフェデラー選手がいたからこそ、その打倒を目指し血眼になり各選手がすさまじい努力をしてきたのです。
ここであげた特徴の3つは、すべてこの美しいフォームがベースになっています。
フェデラー選手は、現役でありながらもはや伝説の選手となっている所以です。
まとめ
The countdown to Doha begins
🦾😃👍#1weektogo pic.twitter.com/EDAgvqp2Md— Roger Federer (@rogerfederer) February 26, 2021
以上、ロジャーフェデラー選手のサーブの特徴、速度、グリップを深掘りし、あの美しいサーブが生まれる所以を解説しましたが、いかがだったでしょうか。
ロジャーフェデラー選手のサーブの特徴は、以下の4つが挙げられました。
- 特徴①読みづらいサーブ
- 特徴②世界有数のセカンドサーブ
- 特徴③ピンポイントのコントロール
- 特徴④力みのないしなやかなフォーム
偉大なる選手、ロジャー・フェデラー選手も2022年で41歳。
逆に言うと40歳まで現役を続けてきて、しかも上位ランキングに君臨していることの方が驚きです。
しかし、物事に永遠はありません。
巨星フェデラー選手もいつかは引退する時期が来るのです。
フェデラー選手の試合を観たい、そういったファンの方はこの目にこの偉大なる選手のプレーを焼き付けておきたい、そのことで頭がいっぱいでしょう。
華麗、美しい、そして強い、そんなフェデラー選手のプレーは一つも見逃せません!
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