ノバク・ジョコビッチ選手、35歳。
GOAT(Greatest of all time=史上最も偉大な選手)と多くの批評家やテニスファンから称賛されているテニスプレーヤーです。
ジョコビッチ選手の凄さ、強さ、天才ぶり、最強という称号がぴったりのそのプレーはいつも驚かされます。
セルビアのこの細身のプレーヤーのどんなところに、その限りなくみえるパワーが潜んでいるのでしょうか?
ここでは、テニス史上において一つの時代、そして伝説を築いたビッグ4の一人、ジョコビッチ選手の凄さ、強さ、天才、最強と言われる所以にせまっていきます。
ジョコビッチの凄さとは?強さの秘訣や天才で最強と言われる理由5選
ジョコビッチ選手の凄さや強さの秘訣、天才で最強とまで言われる理由はこちらの5つです。
- ①常に相手を上回る動き
- ②正確無比のストローク
- ③驚異のディフェンス
- ④見当たらない弱点、そして戦略
- ⑤年々向上するサーブ、世界一のリターン
それぞれ詳しく解説していきます。
①常に相手を上回る動き
ジョコビッチ選手の凄さや強さの秘訣、天才で最強とまで言われる理由1つ目は、常に相手を上回る動きができることです。
ジョコビッチ選手は常に相手を上回る動き、フットワークを持っています。
ジョコビッチ選手が、試合中ラリー戦になったときを思い起こしてみましょう。
ツアーの名だたる強豪選手が、強く、鋭くジョコビッチ選手を攻めてきます。
左右、前後、球種を変え、激しい打ち合いとなる場面、不思議なことが起こってきます。
なぜか、ジョコビッチ選手の方が相手選手よりもほんのわずかですが(コンマ何秒という世界でしょう)早くヒットポイントに到達しているように見えてくるのです。
世界ランキング1位に君臨することの多いジョコビッチ選手、当然上位ランキングの選手を倒さなければその地位は守れません。
鍛え上げれたフィジカル、厳しいトレーニングを積んだ世界上位のプレーヤーですから、各選手世界最高峰のフットワーク、動きをしています。
そんな世界上位の各選手に対しても、ジョコビッチ選手の方が動きが一枚上なのです。
どんなスーパーショットを持っているプレーヤーだとしても、ボールに追いつかなければそれを発揮することは出来ません。
相手選手が相当ギアを上げ、100%に近い状態でショットしてくるのに対し、ジョコビッチ選手はまだ動き、ショットに余裕があり、まだ8割程度でプレーしているのではと思わせるほどです。
そしてブレークポイントなどのピンチの場面になると、ジョコビッチ選手はギアを少し上げ、こともなげにそのピンチを切り抜けてしまいます。
この相手を常に上回る動きで、ジョコビッチ選手が重視するストローク戦で優位に立ち、余裕を感じさせるほどの試合運びをみせるのです。
②正確無比のストローク
ジョコビッチ選手の凄さや強さの秘訣、天才で最強とまで言われる理由2つ目は、正確無比のストロークです。
ジョコビッチ選手は、「マシンではないか?」と相手選手に言わせるほどの正確無比なストローク力を持っています。
「つなぎ」の場面でも、ジョコビッチ選手のショットの大半は非常に深く、相手コートのエンドラインぎりぎりをとらえてきます。
①であげました動きの早さから、しっかりと構えてショットしてくるため、スピンの効いた生きたボールが深く相手コートに突き刺さってくるのです。
これを続けているだけで、相手選手はミスを犯し、ポイントを失います。
つなぎのラリー戦でも優位に立つジョコビッチ選手、もちろんキラーショットを持っています。
その一つはフォアハンド逆クロスショットです。
天性の身体の柔らかさを持つジョコビッチ選手、若いころからこのフォアハンド逆クロスショットをとても得意にしていました。
身体をCの字型に曲げ、逆クロス側にスピンの効いたバウンドしてさらに外側へ逃げるようなショットを放ちます。
ナダル選手やフェデラー選手も逆クロスの素晴らしいショットを持っていますが、ジョコビッチ選手のそれはボールスピード、スピン量、威力がさらに上回っているような気がします。
これを打たれた相手は、ここでウィナーとならなくても、返球がチャンスボールとならざるを得ません。
そして待ち構えるジョコビッチ選手の餌食となってしまいます。
もう一つのキラーショット、それはバックハンドダウンザラインショットです。
錦織選手、メドベージェフ選手、マレー選手、惜しくも引退しましたがシモン選手、片手ならワウリンカ選手、ガスケ選手などバックハンドの名手は数多くいますが、ジョコビッチ選手のバックハンドはツアー屈指、ナンバーワンといってもよいでしょう。
この名手が、追い込まれた(ように見える場面)でダウンザラインに鮮やかにパッシングショットを決めるのですから、相手としては攻めようがない、と思うしかありません。
ジョコビッチ選手をかなり追い込んだと思っても、あっという間にヒットポイントに入っており、ジョコビッチ選手が準備完了していれば、大方相手選手はポイントを失ってしまうでしょう。
③驚異のディフェンス
ジョコビッチ選手の凄さや強さの秘訣、天才で最強とまで言われる理由3つ目は、驚異のディフェンスです。
ジョコビッチ選手の凄さ、それは驚異のディフェンスです。
テニスツアー最高峰のランキング上位の選手たちの試合、それは別次元です。
相手のウィナー級ボールを見事に打ち返すシーンは、大会中継の合間などに放映される「グランドスラム名場面集」などに沢山登場します。
世界最高峰のプレーヤーとしても大変な喜びようとなるスーパーショット映像の連続、まさに別のスポーツではないか、と思わせるほどです。
ジョコビッチ選手の凄さは、そういったスーパーショット集のさらに3段階くらい上をいっているところにあります。
ディフェンスは世界屈指、と申しますか、世界一でしょう。
身体の柔らかさ、読みの鋭さ、動き出しの早さ、そしてその打たれたショットのレベルの高さ、ジョコビッチ選手にかなう人はいません。
相手の素晴らしいストロークショットで、追い込まれたジョコビッチ選手が苦し紛れに上げた(ようにみえる)ロブが、相手コートエンドライン上にピタリと落ち、大ピンチを一転ポイントにしてしまう光景。
相手が素晴らしいドロップショットを放ち、とても追いつけそうもない位置にいるジョコビッチ選手が、見事に返球、そのコースはほぼネットと平行に飛んでサイドライン内ぎりぎりに落ちる光景。
これらはジョコビッチ選手の試合を観ていれば、試合中数度となく見受けられるシーンです。
とにかく驚異的としか言いようのない、不可能を可能にするディフェンス、それがジョコビッチ選手の大きな武器となっています。
相手は2ポイント失ったような気持ちになるでしょう。
④見当たらない弱点、そして戦略
ジョコビッチ選手の凄さや強さの秘訣、天才で最強とまで言われる理由4つ目は、見当たらない弱点、そして戦略です。
ジョコビッチ選手に弱点はあるのでしょうか?
見当たらない弱点、そしてAIのように練り上げられた戦略、これがジョコビッチ選手の強さを裏打ちしています。
わが日本のエース錦織圭選手、ビッグ4で最も相性の悪い相手がジョコビッチ選手です。
2021年までで何と2勝18敗、2014年全米オープンで錦織選手が決勝まで行った時の準決勝以来、一度も勝てません。
錦織選手は展開が早く、天才的なセンスで瞬時にベストショットが打てる選手ですが、相手の弱点を突くのも大変うまいのです。
例えば、フォアハンドは爆発的ですが、バックにやや難点のあったツオンガ選手には対戦を重ねるたびに弱点を浮き彫りにして、優勢な対戦成績を残しています。
その錦織選手が「弱点が全く見当たらない」と語ったのがジョコビッチ選手です。
世界最高峰レベルのテニスツアーの話ですから、ショットが並みであることですでにそれが弱点となってしまいます。
ストローク、ボレーを含むネットプレー、サーブ、リターン、フットワーク、ドロップショット、試合展開の読み、ディフェンスなどすべての要素が、高いレベルで備わっている、どれ一つとっても並みのプレーはない、というのがジョコビッチ選手でしょう。
どこをどう攻めたらいいのか糸口さえ見つからず、早い攻めには早い対応をされ、徐々にその早さが自分を凌駕してくる、リターン力も世界屈指、どんなに攻めても跳ね返されるディフェンス、錦織選手にしたら、どうしたらいいんだ!となってしまっているのでしょう。
稀代の戦略家でもあるジョコビッチ選手、相手を追い詰めていく手を行く通りも持っており、硬軟取り混ぜてその引き出しの多さもツアー随一。
ジョコビッチ選手を世界一にのし上げたのは、ナダル選手なのかもしれません。
2010年当時、2強を形成していたフェデラー選手に対しても優位な位置にいたナダル選手、ジョコビッチ選手にとっては打倒ナダル選手なくして世界ナンバーワンはない、と思ったことでしょう。
多くの選手が苦しんだナダル選手のヘビートップスピンボール、これを早いタイミングでライジングで押さえ打ち続けるという基本戦略は、その後の彼らの対戦成績を一変させました。
それでもジョコビッチ選手がずっと勝っていたわけではなく、ナダル選手が上回ったり、この二人のライバル関係はまさに切磋琢磨、逆に言うとそれは他の選手には絶対負けない、という自信の裏付けだったかもしれません。
⑤年々向上するサーブ、世界一のリターン
ジョコビッチ選手の凄さや強さの秘訣、天才で最強とまで言われる理由5つ目は、年々向上するサーブ、世界一のリターンです。
ジョコビッチ選手の新たな武器、それは年々向上するサーブです。
35歳といえば、普通に考えると落ちていくフィジカルやスピードをなんとかテクニックや戦術でカバーして、いかに成績を落とさないか、そういったを考える年齢でしょう。
他の選手を圧倒して世界ナンバーワンに君臨するジョコビッチ選手、現在でさえ他のプレーヤーには差をつけている感がありますが、衰えるどころかさらに進化しています。
その最たるものがサーブです。
2005年全仏でナダル選手が優勝して以降、2010年の全米まで23回のグランドスラム大会が実施されましたが、そのうちの21回をフェデラー選手、とナダル選手が優勝。
フェデラー選手は12回、ナダル選手は9回、2008年全豪のジョコビッチ選手、2009年全米のデルポトロ選手以外はすべてこの二人に凱歌があがりました、
その2強時代の2011年、ジョコビッチ選手が覚醒します。
小麦アレルギーを自覚した身体改善、徹底した対ナダル選手戦略、そしてこのとき目を見張ようにサーブが改善されています。
それまでのジョコビッチ選手のサーブは、かなり身体を反り、めいっぱい身体を使うような打ち方でした。
そこでバックスイングをコンパクトにして、8割~9割くらいのイメージで少し楽にサーブを打つようになりました。
これらの劇的な改善、徹底したトレーニングの成果により、2011年初頭からジョコビッチ選手の快進撃が始まります。
全仏までの7大会連続優勝、うち4大会でナダル選手を決勝で破り、2011年は対ナダル選手戦6勝0敗、2011年のウィンブルドン、全米、2012年の全豪と3大会連続で決勝をナダル選手と争い、すべて勝利。
2010年まで7勝16敗だった対ナダル選手戦対戦成績を一気に7連勝してこの時点では14勝16敗まで詰めました。
フェデラー選手、ナダル選手の2強時代に待ったをかけ、マレー選手とともにビッグ4を形成するのです。
それから10年あまり、ジョコビッチ選手は既にフェデラー選手と並ぶ20回のグランドスラム制覇を誇り、2021年年間グランドスラムをかけて全米に臨みました。
相変わらずのすべてにわたりハイレベルなジョコビッチ選手でしたが、サーブ力が明らかに向上しているのです。
元来、サービスポイントを取るというよりは、相手リターンからの展開が自分に有利になるようなサーブを打っていました。
リターンによる先制攻撃を受けないようなサーブ、その後の試合展開に絶対の自信を持っていますから、これで十分のような気がします。
しかし2021年全米でみせたジョコビッチ選手のサーブは、スピード、スピン量、球種、コース、すべてにわたって向上しており、ブレークポイントでもあっさりとサーブ1本で凌いでしまうというシーンを見せつけてくれました。
まさに驚異的、鬼に金棒、すでにほとんどなかったスキがさらに狭まっています。
そして世界一のリターン!
ビッグサーバーといわれるプレーヤー、かつてのデルポトロ選手、現在ではイズナー選手やオペルカ選手などはジョコビッチ選手に対して非常に分が悪いです。
2メートルあるいはそれを超えるような身長から220-230キロといった超高速サーブが放たれるわけですから、当然絶対リターンできないサーブもあります。
しかしジョコビッチ選手はそのリターンできないサーブが非常に少ないのです。
逆にいうと、いったんリターンさえ返してしまえば、その後の展開はジョコビッチ選手有利となります。
とても返球できそうもないサーブが飛んできても、ジョコビッチ選手のラケットが届く範囲であれば、何とか相手コートに入れてしまうのです。
ナダル選手、錦織選手などリターンの名手は数多くいますが、ジョコビッチ選手はさらに別格、神業としか思えないショットを披露してくれます。
錦織選手ではありませんが、どうしたらこのジョコビッチ選手に勝てるのでしょうか!?
まとめ
以上、テニス史上において一つの時代、そして伝説を築いたビッグ4の一人、ジョコビッチ選手の凄さ、強さ、天才、最強と言われる所以はこちらの5つが挙げられました。
- ①常に相手を上回る動き
- ②正確無比のストローク
- ③驚異のディフェンス
- ④見当たらない弱点、そして戦略
- ⑤年々向上するサーブ、世界一のリターン
ジョコビッチ選手の凄さ、強さに迫ってみました。
35歳、いまだ衰えを全く感じさせず、むしろ進化すらしているようです。
このようにジョコビッチ選手の最強ぶりを掘り下げていくと、一体どんなプレーをすれば勝てるのだろうか、と感じます。
GOAT <Greatest of all time>にふさわしいジョコビッチ選手、今後の活躍も見逃せません!
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