ジョコビッチのサーブの特徴は?最速スピードは意外と遅い?

ノバク・ジョコビッチ

ノバク・ジョコビッチ選手、今年誕生日を迎えると35歳になります。

しかしそのパフォーマンスは衰えるどころか、ここで取り上げるサーブなどは以前よりも進化し、威力を増している気すらします。

そして世界ナンバーワンを争う位置にいまだ君臨し、次々に登場してくる若手有望選手の壁になっています。

 

ジョコビッチ選手のサーブの特徴は?最速スピードはどれくらい?

大いに興味をそそるところです。

 

ここではジョコビッチ選手のサーブ進化の変遷をたどりながら、その特徴、最速スピードなどに迫っていきます。

 

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ジョコビッチのサーブの特徴

 

ノバク・ジョコビッチ選手のサーブの特徴は以下の4つが挙げられます

 

  • 特徴①サーブ進化の変遷2011年
  • 特徴②サーブ進化の変遷2018年
  • 特徴③跳ねるセカンドサーブ
  • 特徴④コントロール・スピードの進化

 

ではそれぞれ詳しく解説していきますね!

 

特徴①進化の変遷2011年

 

2011年はノバク・ジョコビッチ選手にとって、まさにターニングポイントの年でした。

グルテンアレルギーの克服、メンタル力のアップなどとならび、サーブが著しく進化した年でもあります。

 

ノバク・ジョコビッチの覚醒として知られる、2011年初頭からの破竹の快進撃は、フェデラー選手、ナダル選手に続く「第三の男」とのレッテルを大幅に覆し、マリー選手を加えたビッグ4時代が築かれ始められました。

 

この快進撃の一つの要因に、サーブの著しい進化が挙げられます。

 

2010年までのジョコビッチ選手は、2008年に全豪オープンを20歳で初制覇し、伸び盛りではありましたが、フェデラー選手・ナダル選手の壁、そしてフィジカル面での両選手との差により試合棄権などまさにカベにあたっている状況でした。

 

ジョコビッチ選手がGSを1度制覇した、ただの強い選手で終わるのか、その後歩んだような歴史に残る大選手になるのか、このころが瀬戸際であったといっても過言ではありません。

 

2010年以前、ジョコビッチ選手のサーブは、天性の身体柔軟性を生かし、背中をかなり反らせるフォームでした。

またバックスイングは、これがあのジョコビッチ選手のサーブなのか、と思わせるようなかなりラケットを開いたフォームだったことを当時のサービス連続写真などが示しています。

このため、身体面への負担は大きく、またメンタル面も作用して、大事なポイントでダブルフォルトを犯してしまい、自分が持っていたモメンタムを失って試合を落とす場面が何度も見られました。

このことは、確固たる実力を持ちながら、ジョコビッチ選手が2009年、2010年とGS無冠に終わった要因の一つとして挙げられます。

 

2011年シーズンに登場したジョコビッチ選手は、身体の反らせ具合を減らし、ラケットクローズ気味のバックスイングから、全力に近いパワーで打っていたものを90%程度に抑え、力みが取れたサービスフォームを披露しました。

 

それでもこの当時はまだ、ジョコビッチ選手にとってサーブは武器である、とまではいかなかったのですが、元々跳ねるセカンドサーブに定評があり、ファーストサーブをフォルトしても、攻撃されることがかなり少なくなっていたのです。

 

ジョコビッチ選手はディフェンス型、それも鉄壁の守りを持っています。

相手のエース級のショットをことごとく跳ね返し、少しでも甘くなれば必殺カウンターを浴びせてポイントを奪う、また相手コートの奥深くラインぎりぎりにショットを放ちミスを誘う、そういった試合運びです。

 

このサーブの進化により、ジョコビッチ選手の試合勝率が飛躍的に上がり、それにつれての自信も増大し、クレーキング ナダル選手をマドリード、ローマで連破し、2011年年初から破竹の7大会連続優勝という偉業を達成します。

 

ジョコビッチ選手の2011年におけるサーブ進化は、その後のジョコビッチ選手サーブスタイルの原点となっています。

特徴②進化の変遷2018年

ジョコビッチ選手のサーブが進化した2018年、どんな経緯だったのでしょうか?

2016年、ジョコビッチ選手は念願の全仏オープンを制覇し、念願の生涯グランドスラムを達成します。

前年2015年のウィンブルドン、全米、2016年全豪そして全仏と、GSにおいてなんと4大会連続優勝、芝、ハード、クレーをすべて制覇し、まさに無敵状態でした。

しかし、その後燃え尽きたようにパフォーマンスが低下、2016年ウィンブルドンでは3回戦、リオ五輪ではなんと1回戦、全米では決勝に進んだもののワウリンカ選手の前に敗退、全仏までの勢いが嘘のような有様です。

 

2017年になってもパフォーマンスは上がらず、最も得意な全豪でも2回戦敗退、全仏ではベスト8で敗退、ウィンブルドンに至ってはベスト8途中棄権とGS5大会連続で優勝できませんでした。

 

この時すでに右ひじに痛みを抱えてのプレーだったようで、2017年シーズンは残りを欠場、2018年シーズン全豪には出場したものの、4回戦敗退、そしてその後右ひじ手術を決断します。

 

この右ひじ手術、その後のリハビリ、トレーニングは過酷なものであったと想像できますが、フェデラー選手、ナダル選手しかり、ビッグ4のすさまじいところはケガ休養前よりも強くなって戻ってくるところです。

 

ジョコビッチ選手は、復帰後の全仏でこそベスト8敗退とまだ結果を残せませんでしたが、ウィンブルドンでは錦織選手との準々決勝で素晴らしいパフォーマンスを発揮して快勝、準決勝ではナダル選手を大激闘の末破り、決勝も快勝して久々にGSを制覇します。

 

この2018年復帰後のジョコビッチ選手のサーブは、フォームがさらにコンパクトに改良され、ファーストサーブ確率が毎試合70%近くあるいはそれを超えていました。

この改良はその後の数年も続き、ファーストサーブの確率アップに加え、サーブのプレースメント、スピードも上がっています。

ジョコビッチ選手の一試合平均サービスエース本数は、2016年3.8本だったのに対し、2020年では7.2本と倍近くに増えています。

 

驚異的なフットワークに裏打ちされた守備力、精度、威力とも世界一といえるバックハンドショット、極めて精度の高いドロップショット、これにフェデラー選手級のサーブ力が加わってきたわけですから、ジョコビッチ選手を倒すのは至難の業といえるでしょう。

跳ねるセカンドサーブ

 

世界ナンバーワンとなったプレーヤーに共通することは、セカンドサーブのレベルがとても高いということです。

 

かつてのピート・サンプラス選手、そしてレジェンド ロジャー・フェデラー選手は「ナンバーワンの源は世界一のセカンドサーブを持っているから」とよく言われていました。

元々安定したサーブを持っていたラファエル・ナダル選手には、スピード、回転数をさらに上げたやはり素晴らしいセカンドサーブがあります。

 

ジョコビッチ選手のセカンドサーブは若いころから定評があり、縦回転のスピン量が非常に高いスピンサーブ系のショットを打っています。

長身選手が多くなっている現代テニス、少々のスピンサーブの跳ね上がりでは逆に上から打ち込まれてしまう羽目に陥ります。

錦織選手が基本通りセカンドサーブを相手のバックハンドにスピンサーブ系の素晴らしいショットを打っても、プノワ・ペール選手などにバックハンドで上から打ち込まれるシーンが何度もありました。

 

しかしジョコビッチ選手のセカンドサーブは、半端なく跳ねるのです。

非常に頭脳明晰なジョコビッチ選手らしく、どのあたりまでサーブが跳ねれば攻撃されにくくなるかを徹底的に研究していることがうかがえます。

 

コンパクトなフォームで確率、回転数を上げ、ファーストサーブ確率アップによりセカンドサーブの機会を減らし、その場面でも極めて攻撃されずらいところへサーブを放っていく、これではジョコビッチ選手のサービスゲームを崩すことは大変困難です。

 

ジョコビッチ選手のセカンドサーブポイント獲得率は、ツアーの中で常にトップを争っていることを付記しておきましょう。

 

特徴④コントロール・スピードの進化

 

2021年のジョコビッチ選手のサーブは、明らかにコントロール・スピードが進化しました。

ジョコビッチ選手は、ストローク戦、その後のネットプレー、ドロップショットなどの展開に絶対の自信を持っているため、サーブは試合を有利に運ぶためのツールと位置付けていた感があります。

しかし、年間グランドスラム達成まであと1勝(残念ながらメドベージェフ選手に阻まれましたが)と迫った2021年シーズンなどでは、明らかにサーブの威力が増しています。

 

2019年全米でのジョコビッチ選手はファーストサーブ最速が199キロ、平均183キロ、全選手中55位でした。

ちなみにこの時の最速はオペルカ選手の228キロです。

 

ところが2021年全米では、ジョコビッチ選手ファーストサーブ最速は5~10キロ程度アップしていました。

これにもともとの切れのあるワイドサーブ、ボディーサーブ、センターへのサーブを織り交ぜ、サーブの回転数もアップしている気すらします。

そしてプレースメントは抜群です。

かなり厳しい状況に追い込まれたブレークピンチでも、あっさりとサーブ1本で挽回していく姿は、以前はあまり見られませんでした。

 

従来からもっている精密なコントロール、球種の豊富さ、相手の裏をかく読みの鋭さをそのままに、サーブ速度、回転数が若干ですがアップしているのです。

 

イズナー選手が、5-6年前までは彼(ジョコビッチ選手)はサーブを武器としては言えなかったが、今はそうではない、と語っています。

ジョコビッチ選手は35歳にして更に進化、また一つ強力な武器を携えたのです。

まとめ

 

以上、ジョコビッチ選手のサーブ進化の変遷をたどりながら、その特徴、最速スピードなどをまとめましたがいかがだったでしょうか。

 

ジョコビッチのサーブの特徴は以下の4つでした。

 

  • 特徴①サーブ進化の変遷2011年
  • 特徴②サーブ進化の変遷2018年
  • 特徴③跳ねるセカンドサーブ
  • 特徴④コントロール・スピードの進化

 

 

ジョコビッチ選手のサーブは、あまりスピードが出ていなかったことは少し意外でしたね。

2019年全米のデータでは最速が55位、128ドローであれば真ん中より少し速いくらいということになります。

 

以前はサーブはラリーの開始という典型であったナダル選手が、この時はジョコビッチ選手を上回るサーブスピードであったことも意外です。

サーブのスピードをあえて出す必要はなく、ラリー、その後の試合展開で十分ポイントを得られていたからでしょう。

 

しかし2021年シーズンごろから、明らかにサーブスピードが上がっています。

フェデラー選手、ナダル選手がプレースタイルを変化させ、上位に君臨している前例もあり、ジョコビッチ選手がさらにサーブを磨いてくると、またグレードアップした姿が見られるでしょう。

 

ジョコビッチ選手のサーブ、注目ですね!

 

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