カルロス・アルカラス選手、スペインが生み出したテニス界の超新星、2023年は弱冠20歳でウィンブルドンを初制覇し、その凄さを見せつけました。
この天才テニスプレーヤーの強い所以はどこにあるのでしょうか?
ここでは、今テニス界で最大といってもよい注目プレーヤー アルカラス選手の凄さ、どこに強い部分があるのか、そしてその天才ぶりに迫ります。
アルカラスの凄さとは?強いし天才と言われる理由8選
アルカラス選手の凄さ、そして強いし天才と言われる理由は以下の8つと考えます。
- ①強烈なフォアハンド
- ②抜群のフットワーク
- ③210キロ超えのサーブ
- ④ドロップショット
- ⑤無尽蔵のスタミナ
- ⑥ネットプレー
- ⑦リターン力
- ⑧バックハンドショット
それぞれ詳しく解説していきます。
①強烈なフォアハンド
カルロス・アルカラス選手の凄さといえば、まずは強烈なフォアハンドです。
アルカラス選手はスペイン出身、スペインといえば「クレーコーター」「強烈なスピンをかけたショット」といったイメージの選手を多く輩出しています。
レジェンド ラファエル・ナダル選手に代表されるように、ストローカーとしてのイメージが強く、強烈なスピンショットで相手を押していくといったプレースタイルが多いです。
しかし、アルカラス選手のプレースタイルは、同郷の偉大なる先輩ナダル選手というよりは、もはや伝説となったロジャー・フェデラー選手に似ているのではないか、という声があります。
ラケットなどの用具の進化により、現代テニスでは「より強くボールをヒットする」ということが主流になっています。
そして超高速化しているストロークでは、ボールを早いタイミングで捕らえ、相手の時間を奪うという戦略が主流です。
アルカラス選手は、スペイン出身選手にありがちなスピンボールを多用した粘りのストロークではなく、早いタイミングでかつ超高速のスイングでボールを捕らえ、現代テニス界随一といってよい強烈なストローク力を持っています。
ストロークフォームを分析すると、アルカラス選手のフォアハンドは、フェデラー選手などに比べてバックスイング時によりラケットヘッドを相手側に向けていく動作がみられます。
そして多くのATPツアープレーヤー達が持たない特徴として、フォロースルーがあります。
現代テニスでは、バックスイング時にグリップを高い位置に保持してからスイングを開始し、インパクト前で手首のヒンジを効かせてラケットを遅らせるタメを作り、ハンドファーストのインパクト後はワイパースイングのようにフィニッシュしてラケット面が外側を向くという打ち方が主流です。
これにより強烈なフォアハンドショットが生み出されます。
しかし、アルカラス選手はそれらを更に上回るフォアハンドショットを放っているのです。
アルカラス選手はフォアハンドショットを打つ前に、リストをかなりリラックスさせています。
特にショットを放つスイング後半で、ワイパースイング軌道から更にスナップを効かせてより速く、強烈なショットを生み出しているのです。
そのためアルカラス選手のフォアハンドショットのフィニッシュではラケット面が外側ではなく下側を向いています。
このような技術的側面から、アルカラス選手はツアー屈指ともいえる強烈なフォアハンドを持ち、それを大きな一つの武器としているのです。
②抜群のフットワーク
何度もウィナー級のショットを返球してしまうアルカラス選手の強みは、抜群のフットワークです。
驚異的なディフェンス力を誇る選手といえば、ジョコビッチ選手やナダル選手ですが、アルカラス選手はそれらに匹敵するか、あるいは時には上回るシーンも見受けられます。
2020年にチャレンジャーで初優勝、2021年にATPツアーで初優勝、NEXT GENファイナルズで優勝とまさに一足飛びに急成長を遂げてきたアルカラス選手、なんと2022年には19歳で全米オープンを制覇します。
ATPランキング制度が出来て以来最も若い世界一位に輝くのです。
そして2023年には新芝の王者ジョコビッチ選手をくだしてウィンブルドンを初制覇、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。
この急成長を支えた要素の一つに、フィジカルの向上があげられます。
若いだけあり、トレーニングを積めば積むほどフィジカルが向上し、結果フットワーク力も増大、コートカバー力も大きく広がりました、
相手の怒濤の攻撃に守勢に回る事も当然ありますが、そこを驚異的プレーでウィナー級のショットを返し、反撃に転じて逆ウィナーを決めてポイントとする、相手にすると2ポイント失ったような気持ちになります。
フィジカル力はケガとの戦いでもありますが、練習熱心なアルカラス選手のこと、今後も更に成長した姿を見せてくれるでしょう。
③210キロ超えのサーブ
ビッグ4の全ての要素を兼ね備えているといわれているアルカラス選手ですが、ビッグ4を上回る要素があります。
それは210キロを超えるサーブ力です。
素晴らしいコントロールでサーブを武器にしていたロジャー・フェデラー選手、キャリアが進むに従って著しくサーブ力を向上させたラファエル・ナダル選手、30歳を過ぎてからサービスエースの数を増やしているノバク・ジョコビッチ選手、元来サーブ力には定評のあったアンディ・マレー選手、しかし210キロを超えるようなサーブには達していませんでした。
アルカラス選手は、試合の流れによりサーブを使い分けている傾向があります。
絶対的にストローク戦に自信を持っているため、イーブンペースでは回転数の多いスピン系サーブを多用し、特にアドサイドからは相手がフォアハンドであればバック側にはねるキックサーブ、またボディへのサーブもよく用います。
この一撃で自分をある程度有利な体勢に持ち込み、ストロークで圧倒してサーブゲームをキープしていくのです。
驚くべきは、モメンタムが相手に傾きそうになったとき、あるいはこのポイントを取られると極めて不利になりそうなとき、220キロに迫る超高速サーブでそれを切り抜ける場面をしばしば見せていることです。
少し前までは220キロに迫るサーブであれば、それだけで「ビッグサーバー」と呼ばれていましたが、ビッグサーバーではないアルカラス選手もそのようなサーブを打つ能力を秘めています。
そして相手の意気を消沈させ、自分のペースに再び引き込むのです。
④ドロップショット
アルカラス選手はドロップショットを多用し、それを大きな武器としています。
深く、強烈、しかもスピード豊かなストロークショットを持つアルカラス選手、しかしATPツアーレベルのプレーヤーはそれだけでは中々仕留めきれません。
本来はこれだけでも、勝利を得ることはアルカラス選手であればできるのでしょうが、長く激戦の続く厳しいツアーでは、いかに短い時間でポイントを取っていくかも、大変重要な戦略です。
ドロップショットの成否はある意味センスによるところが大きいショットです。
相手との打ち合いの中で、この場面、このポイントで、コートのここに落とすという判断を超高速ストローク戦の間に瞬時にくだす、閃きやセンスといってもよいかもしれません。
こういったセンスが抜群なのが現役では錦織選手、ジョコビッチ選手、ナダル選手らですが、アルカラス選手はそれに勝るとも劣らぬドロップショットを放ちます。
驚異的な守備力を誇るジョコビッチ選手が拾えない場ももしばしば見受けられます。
若さを誇りながら、時には老獪なプレーも見せるアルカラス選手、底知れぬ可能性を秘めた選手です。
⑤無尽蔵のスタミナ
アルカラス選手の強みの根幹ともいってよいのが、無尽蔵のスタミナです。
超タフネス、相手が試合を続けるのがいやになってしまうほどのフィジカル力で圧倒していた選手は誰でしょうか?
そう、若かりし頃のラファエル・ナダル選手です。
相手のナイスショットをことごとく拾いまくり、強烈なサーブにも食いついてしつこく返球してくるプレーは、相手選手の根気を打ち砕く、そんなシーンを我々は幾度となくみてきました。
特にスタミナを要求されるクレーコートで、ナダル選手がキングと言われる所以です。
そしてこのスペインのフィジカル、メンタルの強さを引き継いでいるのがアルカラス選手です。
あれほど走り回り、打ちまくってもケロリとして何事もなかったように試合を進める様は、まさにスタミナは無尽蔵、鍛え上げられた相手でもフィジカル勝負では負けない、そんな自信を感じさせます。
これは大きなアルカラス選手のアドバンテージでしょう。
しかし2023年全仏でアルカラス選手とジョコビッチ選手の試合で、信じられない光景が勃発しました。
激戦のさなか、アルカラス選手が痙攣を起こし、ジョコビッチ選手が勝利したのです。
15歳以上もの年齢差のある対戦で、フィジカル勝負でジョコビッチ選手が勝るとは!
⑥ネットプレー
アルカラス選手はしばしばネットプレーを披露します。
それは展開の中でのアプローチからのネットプレー、そしてサーブ&ボレーです。
展開の中では、相手ショットが短くなった場合を逃さずアプローチショットを放ち、ネットに詰めます。
ストローク戦での行き詰まり、あるいはポイントを挽回したい場面などを切り抜ける意味でもアルカラス選手は抜群の嗅覚でチャンスボールを逃しません。
アルカラス選手はサーブ&ボレーを、試合の流れ、モメンタムが相手に傾きそうなとき使ってきます。
チェンジオブペース、相手が乗ってきそうな時点でペースを変え、サーブ&ボレーでポイントを奪い自分の有利さを渡しません。
また、相手にとどめを刺す意味でもサーブ&ボレーを使います。
今のところストローク力、サーブ力の凄さでネットプレーはあまり目立ちませんが、フェデラー選手のように磨きをかけると、どこに死角があるのかと思ってしまいますね!
⑦リターン力
アルカラス選手のリターン力は、世界一のリターナーであるジョコビッチ選手も絶賛しています。
テニスはサーブキープはもちろんですが、相手サーブをブレークしなければ勝てません。
各選手は当然相当なレベルのリターン力を兼ね備えています。
そんな中でもアルカラス選手のリターン力は目を見張るものがあります。
広いスタンスをとってフォア、バックどちらにも対応し、強靱なフィジカルをベースにワイドサーブなどで追い出されても返球します。
ナダル選手などもそうですが、ビッグサーバー対策として、まずはリターンを通して返球し、ストローク戦へ持ち込むことを主眼においています。
アルカラス選手は、サーブでのフリーポイントを出来るだけ取られないようにする事が第一義的にあるようです。
そのためスライス、ブロックなどあらゆる手を使って相手コートへ返球します。
そして一旦イーブンに持ち込めばしめたもの、多彩なショットやスピードで自分有利に持ち込んでいくのです。
⑧バックハンドショット
アルカラス選手のバックハンドショットは、フォアハンドショットやドロップショット、ネットプレーが目立ちすぎて、今現在はさほど武器としてはあまり感じられません。
バックハンドショットの名手は数多くいます。
世界一ともいえるジョコビッチ選手、キャリアを追うごとに威力を高めたナダル選手、ミスをした場面がほとんど記憶にないメドベージェフ選手、片手ではジョコビッチ選手相手に鮮やかなパスを決めていたワウリンカ選手、ご存知レジェンドフェデラー選手等々。
そして我らが錦織選手もその一人です。
鮮やかなバックハンドダウンザラインで相手をパッシングする光景を何度見たことでしょうか!
そういった選手に比べると、アルカラス選手のバックハンドはそんなに目立たない印象です。
しかし、ジョコビッチ選手も賞賛しているように、彼のバックハンドショットレベルは最高の部類に入ります。
早い身体のターンからの準備、ラケットヘッドを高く構え、ヘッドを走らせてボールとコンタクトしており、相当な威力のあるボールを打っています。
このショットが更に磨かれていき、アルカラス選手の武器となってくると、この選手を倒すのは相当難しい事になるでしょう。
まとめ
2024年全豪では、シナー選手がついにジョコビッチ選手の牙城を崩し、初制覇しました。
そして昨年ウィンブルドンでは大激戦の末、アルカラス選手がジョコビッチ選手を破り、栄冠に輝いています。
ジョコビッチ選手にとって全豪やウィンブルドンは最も得意とする大会でしたが、それがついに崩されたのです。
しかし未だジョコビッチ選手が高いカベであることは間違いありません。
これからの展開がどうなっていくのか、大変ワクワクしますね!
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